Day1 Original Journal
京都府綾部市での初めてのアート・オブ・ホスティング(AoH)合宿は、大きな雷鳴響く夕立の中、廃校を活用した里山ねっと・あやべの木の香りが気持ち良い「森もりホール」で始まりました。東京からの人が多く、関東だけでなく、近畿、九州そして海外からは中国からも、「何かを得たい」と思う人たちが集まっていました。女性の参加が多く、今後は女性が活躍できるところが伸びるということが期待されると感じました。日本のAoH参加者の男女比率は、通常のAoHの比べてどんな傾向なのかが気になりました。
まずは4 Fold Practiceとして、ここに何のために来たかを、自分が立つ位置で明らかにして、自分の近くにいる人たちと話しました。場所と意思とを対応させたマッピングは分かり易く、その近くの人々と話すことで初対面でも簡単に話が膨らむというのが新鮮でした。大きく分けると「AoHが何なのか知りたい」という人たちと、「AoHを活用してHarvestやCo Createをしたい」という人たちでした。ですが、4つのテーマだけでなく、その間に立つ人もいて全体として円が形成されていることからも、ここに集まった人の目的が様々であることが視覚的にもわかるということが印象的でした。
World Caféでは3つの命題「私たちはどんな時代を『お隣さん』と生きていますか?」「私たちが『お隣さん』と生きている中で忘れていることは何ですか?」「今、私たちの中で湧き上がっているものは何ですか?」を引き継ぎながら、4人組を毎回変えてディスカッションしました。モヤモヤや面倒くさいことに大事なことがあり、不安定で分断された社会の中、距離感を大事にしつつも頼り合える関係を作る上で、「挨拶」、「信頼」が重要なキーワードが出てきました。何かを一緒に始めたいなら、まず挨拶やお醤油の貸し借りなど、何らかの関係性ができることで始まる繋がりが信頼を形成し、関係性の形成がスタートになるのではという話は、「お隣さん」と何かをする場合に大事なことだと思えました。対話で大事なことはどれだけ相手を想うことができるかだ、という話には、多くの情報に流されがちな自分にとって考えさせられるものでした。久しぶりに友達に手紙を書いてみようかと思いました。
「塊で護送船団方式だった時代では繋がりというより団結力が求められ、ヒーローを求める時代になるとドラゴンボールが流行り、繋がりを求める時代になると友に助けられるワンピースが流行るというのは、時代を反映しているのではないか」という世代としての「お隣さん」の議論もありました。
最後の「今、私たちの中で湧き上がっているものは何ですか?」というところでは、それまでの命題とは直接には関係ない「始めるということ」という前向きな発言も現れ、World Caféのエチケットの1つの心から話す(Speak your mind and heart)ということは、前向きな意見を出す上で大事なことなのだなと感じました。
5月に同じ里山ねっとでAoHの入門編を体験した時にも思ったのですが、命題がぼやっとしたものなので、スタートが少し進めにくいのですが、一旦スタートしてしまうと、最初の発言者の発言での言葉の解釈のイメージを、おおまかな定義として皆がある程度受け止めて、それを「引き摺って全体の話が進んでいくので、最初の人がどんな話をするのかが、命題の解釈に関して大きな影響を与えるのだなということを感じました。最初の意見が正しいという前提になる訳ではなく、その命題の解釈の付近から様々意見が出てくるので、何かをディスカッションする時に、その定義を明確にして、ある程度共通の前提条件の認識の上でディスカッションを進めると、皆がそれぞれの想いを伝えやすく、それをハーベストし易いのではないかと感じました。
旬の食材を使ってSuper Meal Teamが作ったDinnerを堪能しました。食事の器やドリンクのカップは全て近隣の竹を使った手作り器で、京都にふんだんにある竹が、木造ホールや芝生の庭ともぴったりのリユース食器として素敵でした。4 Fold Practiceの中心に飾ってある地球をかたどったオブジェにも竹が使われていました。地元の自然を生かした手作りの食器やオブジェなどは、アースデイなどでも活用できるアイディアだとヒントをもらいました。
食事の後はHarvesting ChanceとCoachingがありました。Hosting ChanceへのSign-UpとしてAoHを学びながら、その運営の一部に携わることをというのも新鮮な経験でした。Hostingを学ぶなら、Hostingを体験することが一番の勉強になるということからなのかと思いますが、座学ではなく実践を重視するAoHらしい取り組みだと感心しました。
どの議論にどんな人が集まっても、何かその中の熱いところが出てくるので、意欲のある人を集めてそこで何らかの方法をとるということが重要なのだなと感じた一日でもありました。この人たちと、4日間で何をHarvestできるか、とても楽しみなスタートでした。
(ジャーナル筆者 大力浩二)